この記事は、「トコトンやさしい熱利用の本 福田 尊修 著 日刊工業新聞社」を参考にさせて頂いています。
放射伝熱
熱エネルギーが移動する原理は、熱伝導、対流伝熱そして熱放射と3種類あります。
物体から熱エネルギーが電磁波の形で放出される現象を熱放射といいますが、そのエネルギー量は物体の種類と温度だけで定まります。
熱放射の波長範囲は、赤外線、可視光、紫外線の一部ですので、0.1~100umになります。
また、その電磁波が物体に吸収さけて物体を暖める場合のエネルギーを放射熱といいます。このように、電磁波の形で高温物体から低温物体に熱が伝わる現象を放射伝熱といいます。
放射熱の場合は、外部から受けたエネルギーの一が表面で反射され、別の一部は吸収されますが、残りのエネルギーは物体を透過して行きますので、次の図のようなエネルギー関係式が成立します。ガラスのような透明な物質であれば、一定の透過率(τ)がありますが、金属のような物質であれば、透過率は0となります。その際に吸収されたエネルギーは、物質の内部エネルギーとなります。なお、吸収率(α)が1となる理想物体を黒体と呼び、全ての波長を吸収する物体になります。
[コラム]アルミとステンレス:
ステンレスとアルミは見かけ上同じように見えますが、反射率(吸収率)が大きく異なります。アルミの方がステンレスよりも反射率が大きいということです。別の言い方をすると、ステンレスの方がアルミより吸収率が大きいとにいうことです。そういう理由から赤外線ヒーターなどの反射材などはアルミ材が使用されています。オーブントースターなどで食品を加熱する場合、アルミホイル等で包むと効率的に加熱できます。加熱調理が終わった後もアルミホイルは熱くなっておらず、手で触れることができます。
熱放射の場合で、単位面積、単位時間当たりに放出されるエネルギーを放射能と呼びますが、その値は物体の種類と表面の状態によって変わってきます。なお、黒体の全放射能は絶対温度の4乗に比例し、比例定数であるσをステファン・ボルツマン定数と呼びます。
放射伝熱の場合には、先の熱伝導や対流伝熱の場合のように、高温部から低温部へ一方的に熱が伝えられるのとは違って、電磁波の形でエネルギーが伝えられるため、高温部から低温部への熱の移動だけではなく、低温部から高温部への熱の移動もあります。
ただし、高温部から低温部へのエネルギー伝達量の方が勝っているため、低温部から高温部への熱の移動を含めた総合値として、高温部から低温部への伝熱量として表されます。
放射冷却現象
気象現象の用語で、放射冷却現象という言葉が使われます。それもこの放射伝熱が関わってきます。
反射率
「高校数学でわかる半導体」P.225
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