この記事は、「トコトンやさしいプラスチック材料の本 B&Tブックス 今日からモノ知りシリーズ」 高野 菊雄/著 — 日刊工業新聞社 を参考にさせてもらっています。
プラスチックの起源
プラスチックの起源は、綿花からとれるリンターや木材からつくられるパルプなどの天然の繊維素と硝酸によってつくられる硝酸繊維素(ニトロセルロース)と可塑剤としての樟脳とを捏和・圧延 してつくられるセルロイドです。
人工的な合成樹脂としては、フェノールから松脂に似た外観をし ているフェノール樹脂がつくられたのが始まりです
プラスチック材料とは
プラスチックは、 JIS-6900では、「高分子物質を主原料として人工的 に有用な形状に形作られた固体である」と定義しています。
一般的にはプラスチック (Plastic)と合成樹脂(Synthetic Resin)が同じ意味の言葉のように使われていますが、定義的には「樹脂」は原料であり、「プラスチック」は成形品を指しているのです。

高分子とは
高分子物質とは、一般的に分子量が1万以上ある物質のことです。
水やメチルアルコール、エチルアルコールとか石油を原料とするナフサやエチレンなどは 低分子物質ですが、例えばエチレンを鎖の1つの輪(モノマー)として、これを鎖のようにつなぎ合わせると人
工的に合成された高分子物質(ポリマー)のポリエチレンとなります。
分子量が大きくなるにつれ、気体から液体、固体へと形態が変化し、分子量と共に力学 的性質・耐熱性・電気的性質などが向上して、日常生活に不可欠な高分子量の材料となります。
工業生産された最初の人工の合成樹脂は1909年に米国でつくられたフェノール樹脂です。
重合された 高分子物質の外観が松脂(まつやに)に似ていたため、樹脂と命名されたと言われています。
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高分子材料が必要となる理由
個体材料(バルク材)には、金属材料、セラミック材料等がありますが、高分子材料は、加工の容易性やコストの優位性など色々な利点があります。
特にエラストマー(ゴム)は、高分子材料だけに見られる特性を持っており、現代の産業で無視できない工業材料です。
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合成樹脂の分類と種類
熱で硬化するか、溶融するかによる分類
合成樹脂は、表に示すように多くのものがあります。 企画段階で成形品への要求性能に従って樹脂を選定するときに、同質のものや共通的性質のもの同士で群分けをすると選定の役に立ちます。次のような分類があります。
①熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂
熱硬化性樹脂は、熱をかけるとまず流動するので、 金型で形をつくり、そのまま加熱を続けると次第に三次元的な網目構造ができて硬化します。これを冷却してから再加熱してももはや流動しません。このため熱硬化性樹脂は熱によって変形が起る温度が高くなります。
一方、熱可塑性樹脂は、熱をかけると軟化し流動し始めるので、金型で形をつくってから冷却します。 これを再び加熱するとまた軟化・流動します。このように加熱・冷却に対して可逆性があります。 ②汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック
生産量が右肩上がりで増大を続けていた1997年までは、年代によっては年間生産量が200万トン以上あったPE・PSグループ (GPPS・HIPS・A BS樹脂・ASなど)・PP・PVCを一般に4大汎用プラスチックと言います。PMMAおよびPETも汎用プラスチックのグループの一員です。
工業用部品に主として使用されるプラスチックを工ンジニアリングプラスチック (エンプラ)と言いますが、当時年間生産量・需要量が数万トン以上あったPA
・PC・POM・PBT・変性PPEを、一般に5大汎用エンプラと言います。
汎用エンプラには正式な定義はありませんが、一般に引張強さが40MB以上、曲げ弾性率が2・35G2階以上、耐熱変形の温度と耐熱劣化の温度が共に100℃以上としています。これ以上の高性能な樹脂はスーパエンプラと言います。その
他の樹脂としては、フッ素樹脂・熱可塑性エラストマー・バイオプラスチックなどがあります。


プラスチックの略号
PE (ポリエチレン) : 目薬のボトル
PP (ポリプロピレン) : 目薬のキャップ
PET (ポリエチレンテレフタレート)
POM (ポリアセタール)
PS (ポリスチレン)
PVC (塩化ビニル樹脂)
PC (ポリカーボネート)
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