「電気回路」について ~その(1)~

Engineering

 この記事は、『「電気回路、マジわからん」と思ったときに読む本 二宮 崇氏 オーム社』を参考にさせて頂いています。

電力について

・電力の概念

電カ=電圧×電流です。

電力の単位はワット [W]、仕事率ともいい、力(パワー)とも呼ばます。仕事率とは1秒間あ たりの仕事なので、仕事=仕事率×時間 [秒]となります。仕事の単位はジュール[J]となり、「仕事」 =「エネルギー」です。

「1 [W(s)]=1[J]」 である。

1[W]の電力を消費する回路に電流を1秒間流すと、1[J]の電 力を消費します。1[g]の水を1[℃] 温めるのに必要な熱量(仕事) は約4.2 [J] なので、消費する電力がすべて熱に変わるとすると、 この回路に電流を4.2秒間流すことにより、1 [g] の水の温度が約 1[℃] 上昇します。

電圧を4.2Vに増やす代わりにス イッチONを1秒間に減らしても、 温度上昇は約1℃で変わりません。

電気の世界では、仕事(あるいはエネルギー)を電力量とも呼び ます。電力量と仕事は同義なので単位はジュール[]]ですが、 1[W]の電力を1時間流すことに相当する電力量としてワットア ワー [Wh] という単位もよく用いられます。1 [Wh] =3,600 [J]です。

1kW (1,000W)のヒーターを1時間 使うと電力量は1kWh (キロワット アワー)。3,600kJと呼ぶよりわか りやすいね。電気代もkWhあたり で決まっているし〜。

交流について

波高値(最大値) V0の正弦波交流 のある時間tにおける電圧vは、

となります。

 この電圧に抵抗Rを接続した場合、オームの法則が成り立つの で、電流 i は、 

となります。

 抵抗で消費される電力かについても直流と同様に求めることが できます。 

正と負の値が入れ替わる電圧と電流に対し、電力かは周波数が2倍で常に正の値となることがわかります。  

 このように交流波形について、時々刻々の変化する値を瞬時値といいます。
しかし、1秒間に50/60回も振動する波形のある時間における瞬時値を知るニーズは、実際にはほとんどありません。
常に電圧が変化している商用電源を簡潔に100 [V] と表現する実効値が広く用いられています。

■交流の実効値

 同じ負荷に対して直流と同量の電力を供給できる交流電圧につ いて、直流と同じ値となる表記を実効値といいます。

 直流電圧V=100[V] で100 [Ω] の抵抗が消費する電力Pは、

 同じ抵抗値で、波高値V。の交流が供給する平均電力Pが直流 電力Pと等しくなるので、

 このときの交流の実効値電圧Vを直流と同じ100 [V] と表すので、交流の実効値は波高値の1/√2倍となります。電流についても電圧と同様に波高値の 倍が実効値となります。

 実効値は、英語でeffective value、あるいはroot mean square value (2乗平均値)といい、RMS値と表記されることもあります。
ちなみに、波形の平均値は波高値の2/π=0.64倍で、波高値の1/√2=0.71倍となる実効値とは値が異なります。

コラム:正弦波の平均値について

上記に正弦波の平均値が出てきます。正弦波の平均値を求めてみましょう。

まず、正弦波(sin)の0~π(180°)までの積分値Sを求めてみます。

平均値なので、πで割って、

となります。

変圧器について

 環状鉄心に10回巻きと30回巻きのコイルを巻いた変圧器を考えます。10回巻きコイルに交流電流を流すと、アンペー ルの法則により、鉄心には電流と巻き数に比例した磁束が流れます。
交流で磁束が変化すると、30回巻きコイルにはファラデー の法則により、磁束の変化と巻き数に比例する誘導起電力が発 生します。このとき、30回巻きコイルの誘導起電力は、 30=3倍となります。 10回巻きコイルの電圧に対し、 30/10 = 3倍 となります。
 

 次に30回巻きコイルに負荷抵抗を接続すると、発生した誘導 起電力によって回路に電流が流れます。このとき、鉄心には電流と巻き数に比例した磁束が新たに発生します。すると、発生した磁束を打ち消す電流が10回巻きコイルに流れます。巻き数 が1/3倍なので、電流は3倍必要です。

負荷電流による磁束は打ち消されるので、 鉄心に流れる磁束は負荷によらず、 一定(もとの磁束のまま)に保たれます。

 電源が10[V]の場合、二次側の電圧は30 [V]となり、10 [Ω]の 抵抗を接続すると3[A]の電流が流れます。
このとき、一次側の 電流は二次側の3倍の9 [A] です。
つまり二次側に接続した 10[Ω] の抵抗は、一次側から見ると電圧10[V] で9[A] 流れる抵 抗、つまり10/9[Ω]と等価になります。

 負荷側の巻線数に対する電源側の巻線数を巻線比といいます。 巻線比がNなら電圧が1/N倍、電流がN倍に変換されます。
巻線比Nの変圧器の二次側に接続された抵抗R [Ω]は、一次側に 換算するとN2R [Ω] になります。

アンペールの法則

ファラデーの法則

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