(※内容について本文で一部言及しています。未視聴の方はご注意下さい。)
評価:☆☆☆☆☆
この作品は、1991年に、監督 中原 俊、脚本 三谷 幸喜の映画化された作品です。群像劇なので、特に主演などはいない感じです。
もともとは、演劇の戯曲です。それを中原 監督によって映画化されたものです。映画のシーンもほとんど陪審室だけで起こり、三谷 作品の戯曲を映画化したものだと納得させられます。
設定は、タイトルからもわかるとおり「12人の怒れる男」へのオマージュかパロディになっています。この戯曲の発表時には、日本には陪審員制度はありませんでしたが、もし日本に陪審員制度があったらという設定になっています。
2009年から、日本でも裁判員制度が導入されましたが、三谷さんに先見の明があったということでしょうか?
この映画では、最初に全体の状況が知らされずに、出演者が映画の中で議論をしながら、視聴者に事件の概要を教えて行きます。いわば、劇中劇のような構成をとっています。これは、三谷作品の他の作品(「ラヂオの時間」や「笑いの大学」)でもよく見られる手法だと思います。
映画について
陪審員たちの発言によって、明らかになる事件の概要は青字で記します。
本編は、裁判終了直後からという設定で始まります。この時点で、裁判の殺人事件の概要は明らかになっていません。評決を導くまでの議論の中で殺人事件の詳細があきらかになっていくという設定です。
まず陪審員1号(塩見 三省)で陪審員長が、陪審員全員に対して「有罪」か「無罪」かの多数決を取ります。すると、全員が「無罪」との判断を示します。しかし、ここで終わっては、物語が進みません。
陪審員2号(相島 一之)が無罪の評決に異を唱えます。仕方なく、他の陪審員たちも陪審員室に戻って来て、評決の話し合いが再開します。
被告は21歳の女性で美人のようです。しかし、彼女はその歳で離婚歴があり、5歳になる息子を一人で育てているそうです。そして、その生活を支えるために、昼はスーパーのレジ、夜はクラブのホステスとして働いています。
被告は、元夫を車道に突き飛ばし、結果としてトラックに轢かれ死亡したことで、殺人の疑いで裁判に掛けれています。
この元夫は元妻の被告人に復縁を求めに来たのです。ところがこの元夫がひどい男で酒癖は悪いし、女には手が早いし、おまけに無色だと来ています。
事件当日は、4月21日(日)でした。別れた夫から午後6時に連絡がありました。そこで6時30分に駅前の居酒屋、「大自然」で2人は会います。よりを戻す気がないことを告げてすぐに帰るつもりが、話が伸びて、店を出たのが8時でした。被告は夫を振り切って家に帰ろうとしますが、自宅から500m程離れた地点で夫に追いつかれてしまいます。
現場は、歩道を工事中のバイパスで大変人通りが少ない場所です。二人は缶ジュースを飲んで再び話し合います。やがて、周囲に人がいないのを確かめて、夫は被告に襲いかかります。二人はそのままもみ合っているところに目撃者が通りかかります。

ここで、被告と目撃者の証言が食い違います。被告は一方的に暴力を受けたといい、目撃者は対等にやりあっていたと証言してします。
目撃者の主婦が通りすぎた8時20分に被告は、長距離トラックに夫を突き飛ばし、夫は全身を強く打って即死したそうです。
目撃者は二人が口論しているときに、被告が「シンジャエー」と叫んでいるのを聞いています。しかし、被告はそのようなことは言っていないと主張しています。
証人が現場を離れる時に反対車線を走ってくる長距離トラックを見ています。証人とトラックがすれ違った直後、証人の背後でクラクションと急ブレーキの音が聞こえます。証人が振り返ると、急停止したトラックの前に夫が倒れて、その脇に被告が佇んでいたということです。
被告は被害者に会いに行く前に子供のためにビザを頼んでいました。
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