シリコーン

Engineering

この記事は、「トコトンやさしいシリコーンの本 B&Tブックス 今日からモノ知りシリーズ」 池野 正行/著 — 日刊工業新聞社 を参考にさせてもらっています。

用語

シリコン(ケイ素) : 元素名および単体の名前です。
シリコーン : ケイ素を含む有機化合物、特にシ ロキサン結合を含む化合物の総称です。

シリコーンとは

シリコーンとは、石英と同じシロキサン結合 (-Si-O-Si-)の骨格を有し、そのケイ素原子に有機 基が結合した有機ケイ素化合物に与えられた呼称です。

Si(ケイ)素という無尽蔵の資源を出発原料 とし、無機質の強さと有機質の特性を兼ね備えた特異な性質を持っている、天然には存在しな い人工物です。

シリコンとシリコーン

 シリコンとシリコーンは別の物質です。シリコンは元素名で日本語ではケイ素も英語では (Silicon)になります。酸素、窒素、炭素、などと同様に物質を構成する元素の一つです。また、シリコンは元素名であると同時に「単体」物質としての名前でもあります。単体のシリコンは金属光沢を呈し、今世間をにぎわしている半導体素子の原料でもあります。太陽電池の基板に迷彩柄のよ うな濃淡があり、この濃淡は結晶度の違いによるもので、太陽電池には多結晶シリコン(ポリシリコン)と呼ばれる単一の結晶ではないシリコンが使われています。このため濃淡を見ることができます。

 一方で、シリコーンはケイ素(シリコン) を構成元素の一つとして含有する有機化合物です。 シリコーンは、ケイ素以外にも、酸素、炭素、水素、 を主体とした複数の元素から構成されています。か つて、有機化合物の分析は、元素分析法が主流でし た。ジメチルシリコーンオイルを元素分析すると、 C₂H₂OSiとなりますが、この元素構成比がアセトン (C₂H₂O)と似ていたため、ケイ素 (silicon)のケトン (ketone) 類縁体であると考えられていた時期があり、 シリコーン (Silicone) という名称が与えられました。 核磁気共鳴法などの構造解析法が発達した現代では、 シリコーンはケトン類縁体ではなく、シロキサン結合 (Si-O-Si)と呼ばれるケイ素と酸素が単結合で交互に連続した構造であることがわかっています。 日本語では、「ー」(長音)、英語ではeの有無だけの違いですが、シリコンとシリコーンでは、それが指す物質は大きく違います

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