今回レビューするのは、『「AIクソ上司」の脅威 2030年、日本企業の序列がひっくり返る』 鈴木 貴博 著 PHP研究所です。
本書は、2022年末に出現した生成AIの影響を踏まえた、未来予測の本です。読んでいて、大変刺激を受ける内容であり、所々で自分の考えとは異なることが出てきたりしたので、自分の意見も交えつつ、書評を書いておこうと思います。何年か後に読み返してみて、私か本書の著者のどちらが正しかったのか判断したいと思います。
本書のあとがきに脱稿した日付が記されています。2023年11月となっています。著者が本書で述べている意見は、2023年11月の時点だということです。対して、私の書評は2024年4月です。この時点での意見ということになると思います。
まず、本書のタイトルでもある「AIクソ上司」の説明が「はじめに」で説明されています。AIが上司になるのではなく、AIを上手く使いこなして強化ビジネスパーソンになった人が上司になりそういう人に牛耳られるとする未来予想図です。
ここで想定されているシナリオで、凡庸な上司が生成AIに色々質問していって、知識を強化していって有能なビジネスパーソンになるというシナリオで、凡庸な人はキレ者になり、元々キレ者のビジネスパーソンはさらにキレ者になって独立もできるようになるというのです。
現在世界を取り巻くAIに対する感覚は、「役に立つ」派と「脅威論」派に分かれると思います。「脅威論」派の中でも一番の懸念は、「AIが仕事を奪う」ではないかと思います。他の生成AIの本にも書かれていたのですが、「AIが仕事を奪うのではなく」、「AIをうまく使いこなせる人に仕事を奪われらる」のだと思います。
しかし、今の生成AIは、「ハルシネーション」といって、嘘を平気で出力してきます。このような、AIをどこまで信じて、業務に使っていいのかという議論があるかと思います。
Chat-GPTとは
「Chat-GPT」の意味は逆順の「T→P→G→ Chat」で考えると理解しやすいそうです。
「T」はTransformer(トランスフォーマー)の略で、文章を単語に分解して重みづけをしたうえで、重要な単語に重きを置くというAIの学習方式のことを指すそうです。
トランスフォーマー方式だと制度が高いまま学習スピードが速くなるということで、「学習スピードが速いAI」というのが、ChatGPTの1つ目の特徴だと言えます。
次の「P」は、Pre-trained, つまり「事前学習された」という意味です。ChatGPTは事前に学習した範囲内でしか出力できません。ChatGPTに創造力はありません。既存のものを素早く上手に模倣する機械だと理解して下さい。
次の「G」が生成(Generative)です。しかし、新しいものを創造する形での能力は持たない機械だと理解して下さい。
そしてChatGPTの最大の特徴が「Chat」、つまり「対話形式で使える」ということです。
4つの特徴をT→P→G→Chatの逆順で解釈すれば、ChatGPTの正体とは、「学習スピードが速く、既存ものを素早く上手に模倣し生成する、対話形式で使える機械」であることがわかります。
EV(電気自動車)について
また、自動車の未来の形として、SDV(Software Defined Vehcle)が論じられています。これを分かり安くいうと、「車のスマホ化」という人がいます。EVに搭載されたソフトウェアもスマホのOSのように定期的にアップデートしてくれるというのです。
しかしながら、現在のスマホでも全てのスマホに対してアップグレードしてくれふる訳では、古いハードになると、アップデートの対象になりません。もし、「車のスマホ化」がその通りになるのなら、4~5年前に買ったEVは、アップデートの対象外になってしまいます。
その場合は、プロセッサが入っているユニットを交換すればいいのかも知れませんが、そのことについての言及はありません。
あと、EVの項で知ったのですが、旧クライスラーは、現在はステランティスとして、欧州の企業グループの一部門になっているとのことでした。
現在、EVについては、AIの搭載とは別にして、産業や工業製品としての是非が議論されています。
私のEV論
私の予想では、EVはやはりガソリン車に置き換わって主流になっていくような気がします。
ソフトバンクの事例
AIの活用事例として、ソフトバンクでの事例が紹介されています。
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