「ニッポンのアホを叱る!」の書評・感想

Books

 今回レビューするのは元読売テレビアナウンサーの辛坊 治郎さんの著書、「ニッポンのアホを叱る!」光文社刊うな書名での本が多数出版されているようなので、間違えないように注意しなければいけません。

本書の構成は、以下のようになります。

  • Part1.若者に老後の安心はあるのか?
  • Part2.借金大国・安倍政権の優先課題
  • Part3.「民主主義国家」ニッポンの正体
  • Part4.異形国家・中国が抱える「大きな闇」
  • Part5.未知のウイルスが猛威を振るう

放射線被曝量

読んだ内容でいくつか勉強になった点があります。その一つは「Part2.借金大国・安部政権の優先課題」の中の「丸川珠代大臣に告ぐ!被曝量の長期目標が1mSvの科学的根拠」です。東日本大震災の後、福島第1原発の事故がありました。その後、あの地域の除染の基準をどうするのかという議論になってICRP(国際放射線防護委員会)の勧告によって1年間の累積放射線量が1mSvに決まってた理由が説明されます。まず、放射線よりも身近で理解しやすい例として、紫外線による日焼けと皮膚ガンのリスクが説明されます。放射線の人体への害と紫外線の人体への害は似た作用を示すためです。

夏の晴れた日に屋外にいた場合紫外線が皮膚にあたります。この場合、敏感な人で30分、鈍感は人で1時間くらいは皮膚に変化は起きません。この30分なり1時間なりが「しきい値」を超えなければ皮膚に急性症状(皮膚が赤くなる)は何も出現しません。1日15分ずつ100日間、累積で1,500分紫外線を浴び続けても皮膚は赤くならないのです。しかし、皮膚ガンの発症リスクは、浴びた紫外線の累積量に比例して高まることが証明されています。つまり、「皮膚が赤くなる」(発赤リスク)という急性症状には、「これ以下なら大丈夫」という「しきい値」があるけれど、「皮膚ガンの発ガンリスク」には「しきい値」がないことになります。

放射線の人体への影響もこれに似たところがあって、精子が一時的に減少したり、胎児に精神遅滞が発現するのは、一度に200mSv以上の放射線を浴びた場合で、1日1mSvを200日連続で浴びたからといって、精子が減少するわけではないそうです。

つまり、紫外線による人体への悪影響も放射線被曝による人体への悪影響も、短期のリスクと長期のリスク、両方考えなければならないという訳です。

ICRP(国際放射線防護委員会)は「ガンになるリスクは1000mSv(1Sv)で5%高くなる」と推定しています。つまり累積1000mSv(1Sv)被曝すると、100人に5人がガンになる可能性があるんです。この数値は、累計100mSv以上は直線的に比例するとされていますから、累積被曝でガンになる確率は、0.5%上がる、つまり1000人に5人がガンになることになります。では、累積100mSv以下の人体への影響ですが、例えば累積10mSvで0.05%、つまり1万人に5人がガンになるかというと、これは分からないそうです。普通に生活していても1000人に200人がガンになるらしいので分からないそうです。そこでガン化のリスクが学問的に確認できる「累積100mSv」が世界的な目安となり、この100mSvを仮の人の寿命100年で割って、「一般人が浴びていい放射線の上限値」として「年間1mSv」が世界的なコンセンサスとなっているそうです。

別の言い方をすれば、年間の放射線曝露量が1mSv以下であれば、100年生きても累積100mSv以下なので、100歳でガンになってもそれが放射線被曝によってガンになったかは学術的には分からないということです(前述したとおりガンの原因は放射線被曝以外にもありますので、他の理由でガンになるリスクがあるからです)。

ちなみにガンの簡単な説明もあって、ものすごく簡単に言うと、細胞のDNAが損傷して、細胞が無秩序に増え始める現象だそうです。

また、これは本書には書いていなかった私の考えなのですが、福島第1発電所で保管されている処理水を希釈して海洋放出を23年中に行おうとする案が出ています。なぜ、23年中なのかという理由を私なりに考えてみました。汚染水の処理装置ALPSでも除去しきれず、福島第1原発の敷地内のタンクに貯蔵してある処理水の中に残っている元素にトリチウムがあり、これが現在問題になっています。トリチウムの半減期は12.26年らしいです。福島第1原発での事故があったのが、11年3月なので、12年後の23年には、事故後直後に発生したトリチウムに関しては放射線量が半分になっているからではないかと思います。

アメリカ大統領選挙

他に勉強になった項目としては、「異形国家・中国が抱える「大きな闇」」のなかの「世界一わかりや安い「アメリカ大統領選」」です。まず、大統領選の投票日が「11月第1月曜日の次の火曜日」になっている理由ですが、交通機関の発達していない昔、日曜日に教会に行ってから馬車に乗って投票所まで行くのに2日にくらいかかるということで火曜日が投票日になったらしいです。「第1火曜日」にしなかったのは、月初めの1日が「第1火曜日」になることを避けるために、「第1月曜日の次の火曜日」になったらしいです。

次に「予備選」と言われる制度ですが、アイオア州、ニューハンプシャー州、ネバダ州、サウスカロライナ州と続いていくわけですが、これが分かり難くて説明されないと理解できないと思います。日本なんかでは、自民党の総裁選挙や野党の代表選挙は各党で日程などは独自に決めます。ところが、アメリカではこの方法が州法で決まっているらしいのです。また、州ごとに普通の選挙のように投票する(予備選)のか、それとも集会に党員が足を運んで決める(党員集会)のかも州法で決まっています(アメリカは連邦制なので各州で法律が違います)。ちなみにアイオア州では、党員集会らしいです。そして上記のようにアイオア州、ニューハンプシャー州、ネバダ州、サウスカロライナ州と州法で決められた日程に沿って各予備選(党員集会)が開かれて大統領候補が絞られていきます。そして3月上旬の火曜日に全米11州で行われる候補者選び(これをスーパーチューズデーと呼びます)を経て、6月で終わります。

ピロリ菌

今回読んでみて特に勉強になったなと思ったのは、「Part5.未知のウイルスが猛威を振るう」の中の「胃炎や胃ガンのもと「ピロリ菌」を除菌しよう」の項です。タイトル通り、ピロリ菌は胃炎や胃ガンのもとになっているらしいのですが、検査で簡単に見つけられるし、薬で簡単になおるらしいです。この本を読んだ後ぐらいに人間ドックを受信したのですが、胃カメラで胃の中を撮影すると胃壁がピロリ菌にやられている可能性があると言われました。この本を読んでピロリ菌の怖さを理解していたので、追加の検査を申し込みました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました