「4端子測定法」と「四探針測定法」

Engineering

 抵抗値の測定分析方法に4端子測定法と四探針測定法があります。大きなコンセプトは似ているのですが、細かい部分や測定適用部品に対して違いがあるのでそのあたりを明確にしたいと思います。

2端子法

 まずは、テスター等で採用されている2端子法の等価回路を下図に示します。

 この場合の抵抗の測定値はV/I は次の式で表されます。

 上記式から読み取れる抵抗値は、「リード抵抗」や「接触抵抗」を含んでいるため、抵抗値が小さなZを測定する際には、「リード抵抗」や「接触抵抗」を除去できる測定方法で測定しなくてはなりません。

4端子法

 次に、4端子法の等価回路を下図に示します。

この場合の電流値 I は次の式で表されます。

ここで、電圧測定器の入力インピーダンスを高くして、 Z << r1 , r2とすると、上記式の第2項は実質的に0になるので、

つまり、印加電流源を別に用意すると、電圧計の入力インピーダンスを独立に変化させることが可能になり、インピーダンスを大きくすることにより、外乱を排除してターゲットの抵抗値のみを測定することが可能になります。

下図に4端子法の具体的な測定方法を示します。その下の項目の四探針法の測定方法と比較してみて下さい。

四探針測定法

よく「4端子法」と「四探針法」が混同されますが、「4端子法」の所で説明したように「2端子法」で不可避だった「リード抵抗・接触抵抗」を排除してターゲットの抵抗値を測定できる点では、「四探針法」でも同じです。両者の違いは電極の設置などの測定方法の違いによります。

四探針法の測定方法を次に示します。

4端子法 vs 四探針法

「4端子法」と「四探針法」の特徴をまとめてみました。

測定器の入力インピーダンス

この項は「電気・電子計測入門 中本高道 著 」を参考にさせてもらっています。

4端子法の説明の中で電圧測定器の入力インピーダンスを高くする必要性を述べましたが、そのあたりをもう少し説明します。

電子回路内の対象物を測定しようとすると内部抵抗を考える必要があります。測定対象に何らかの測定器を接続すると、測定対象のデバイス状態はこの測定器を接続する前と異なることになります。測定器を接続すると、測定器にも少ないにせよ電流が流れるので、測定器自体も測定対象の回路網に含めて考える必要があります。

下図に示しますように測定するために測定器を接続したのに、測定器を接続する前の状態と異なった電気量を測定していることになり、何のために測定しているのか分からなくなります。

何らかの信号源は電圧源や電流源を持ちますが、内部抵抗も持ちます。また、測定器は必ず入力抵抗(交流ならインピーダンス)を持ち、測定器を接続することにより、必ず電圧降下を生じます。この電圧降下分をできるだけ小さくする必要があります。

信号源内部抵抗をRs、信号源電圧をVs、測定器入力抵抗をRinとすると、測定器の入力電圧Vinは

となります。測定器の入力抵抗(交流ならインピーダンス)が信号源の内部抵抗に比べて十分に大きい場合には、その影響を無視することができるので、測定器を接続して測ることができます。このことから測定器の入力抵抗(交流ならインピーダンス)を大きくする必要が説明できます。

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