映画「JOKER」のレビュー・感想

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(※内容について本文で一部言及しています。未視聴の方はご注意下さい。)

評価:☆☆☆☆☆

 2019年に公開された作品です。ジョーカーといえば、バットマン最凶の敵として有名で、クリストファー・ノーラン監督のバットマン・トリロジーの2作目「タークナイト」でヒース・レジャーが演じた役が記憶に残っていると思います。しかし、この作品はバットマン・トリロジーやDCユニバースとは独立したマルチバースの世界観で描かれているようです。

 「ダークナイト」に登場するジョーカーは、最後まで正体不明で頭も切れ、実行力もあり、サイコパス的な要素もあり、まさに最凶のヴィランという感じです。

 しかし、本作品でのジョーカーは、アーサー・フレックといい、社会に順応できず、疎外感を募らせた人物が最終的に最後に鬱積したした不満を暴発させ、それがゴッサムシティのデモと重なって暴動へと発展していくストーリーです。

 主演のジョーカー役は、ホアキン・フェニックスが演じています。ホアキン・フェニックスといえば、「グラディエーター」で主人公のラッセル・クロウ演じるマキシマス・デシムス・メレディウスの仇役としてのルキウス・アウレリウス・コンモドゥスを演じたことを思い出しますが、大分イメージが変わっていたので、最初分かりませんでした。

映画について

 アーサー・フレックはスタンダップ・コメディアン志望です。しかし、まだコメディアンとしての実績がないため、現状ではピエロの扮装をして楽器店の宣伝マンをしたり、小児科病棟に入院している子供たちを慰問したりして生活しているようです。

 ある時、楽器店の閉店セールの際、お店の看板を持って宣伝をしているとね、不良少年たちに看板を奪われます。少年たちを追いかけていくと、看板で殴られ、看板は壊れ、自分はボコボコにやられます。

 また心の病気からか、ゴッサム市が運営するセラピストにカウンセリングを受けています。セラピストとの会話で過去に自傷行為で病院に収監されていたことがあるようです。

 突然笑い出す症状がでるようで、説明用のカードを常に持ち歩いています。ゴッサム市の市営のアパートに母親と一緒に暮らしています(設定としては、かなり貧相な家らしいのですが、映画を見る限りはそんなに悪くない暮らしに見えます)。

 母親はペニー・フレックといい、30年前はゴッサムの名士であるトーマス・ウェインの家で働いていたことがあります。ペニーがいうには、トーマスはいい人だからペニーとアーサーの窮状を知れば援助してくれるだろうとのことです。しかし、返事は一向に来ません。

 親子二人の楽しみはマレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)がMCを務めるトークショーで、アーサーはいつかこの番組に出演することを熱望しています。

 ある日、アーサーが不良少年に襲われたことを聞いた同僚のランドルから拳銃をもらいます。ランドルいわく「自分の身は自分で守らなければならない」とのことです。

 アーサーはある日、小児病棟を訪れ小児病の子供たちをピエロの扮装で楽しませるという仕事をします。しかし、その時ランドルからもらった拳銃を持って行って、子供たちの前で落として見せてしますうという失態をおかしてしまいます。

 それが原因で、アーサーはピエロの仕事を失ってしまいます。アーサーは失意のまま、電車に乗り帰路につきます。すると酔った三人のサラリーマンが同じ電車に乗り込んできます。

 同じ車両に乗り合わせいた女性客にちょっかいを出します。ちょうどその時、アーサーの笑い出す発作がでてしまい、サラリーマンのちょっかいの矛先は、アーサーに向かいます。

 サラリーマンたちはアーサーに殴る蹴るの暴行を働きます。ついにアーサーも我慢の限界がきて、ランドルからもらった拳銃でそのサラリーマンたちを射殺してしまいます。 

 その三人のサラリーマンはウェイン証券の従業員でした。トーマス・ウェインはテレビのインタビューに答えて、殺人者はピエロの格好をしなければ人殺しができない卑怯者だと罵倒します。そして、自身が市長選への出馬することを明らかにします。

 アーサーはその後、念願だったコメディアンとしてクラブでジョークを披露します。同じアパートにすむソフィー・デュモンも身に来ます。コメディショーは思いのほか受けて終わります。

 その日、アーサーが家に帰ると、母親のペニーがまたトーマス・ウェインに手紙を書いたと言います。アーサーは、その手紙を盗み読みして衝撃を受けます。その手紙には、アーサーはペニーとトーマス・ウェインの子供だから自分たちを窮状から救って欲しいと書いてあったのです。

 アーサーはそのことを母親に問い詰めます。ペニーはアーサーの迫力に気圧されて、アーサーはトーマス・ウェインとの間にできた子供だと言ってしまいます。

 アーサーは自分の出生の秘密を知り、ゴッサムシティ郊外のウェイン邸にトーマスに会いに行きます。ウェイン邸には幼い息子のブルース(後のバットマン)がいました。アーサーはブルースにピエロの芸を見せてあげます。

 しかし、不審者が現れたと思った執事のアルフレッドがそこへ駆けつけます。アーサーはアルフレッドに自分はペニーの息子で、トーマスとペニーの秘密を知っていると話しますが、アルフレッドはまともに取り合いません。

 アーサーはアルフレッドの首を締めあげて、逃げ帰って行きます。そして、自宅のアパートへ帰ってくると母のペニーが脳卒中で倒れて救急車で病院へ搬送されるところに遭遇します。

 病院へ着くと、刑事のギャリティーとバークがアーサーに事情聴取にやってきます。アーサーの不在中に母親のペニーにも話を聞いたのですが、その際過呼吸を起こして倒れたらしいのです。

 ギャリーとバークは、地下鉄での殺人事件について、アーサーに事情聴取をしますが、アーサーは自分には関係ないと言って相手にしません。

 アーサーは、母親のぺニーに付き添いますが、ソフィー・デュモンも一緒に付き添ってくれます。そのペニーの病室のテレビでたまたま偶然、マレー・フランクリン・ショーをやっていました。

 しかも、コメディ・クラブ、ポコズでのアーサーのコメディを撮影して風景を紹介していました。しかし、その紹介の仕方は、明らかにアーサーを嘲笑するものでした。アーサーはそれを見て愕然とします。

 その後、自宅へ帰ったアーサーは、ニュースでトーマス・ウェインがゴッサムシティの市長選に立候補することを知ります。翌日には、ウェイン・ホールで事前チャリティーを行うということで、アーサーもウェイン・ホールへ行ってみます。

 アーサーは、従業員の振りをしてウェイン・ホールへ潜り込みます。そして、トイレでトーマスに会い、自分はトーマスとペニーの息子だと告白します。

 アーサーに下心はなく、ただ父親の愛情が欲しかっただけでしたが、トーマスの返事はただ否定するだけでした。しかも、トーマスはペニーがウェイン邸で働いていた時に、アーサーを養子にしたと告げます。そして、逮捕され州立病院へ収監されたこともことも教えます。

 アーサーは自宅のアパートに帰ると、マレー・フランクリン・ショーのスタッフから出演のオファーの電話がかかってきます。 

その後、アーサーはトーマスの証言を確かめるべく、アーカム州立病院を訪れます。トーマスがペニーが収監されていたと言った病院です。アーカム州立病院に収容される人たちは、犯罪者か精神障害によって他人や自分に危害を加える人たちです。

 アーサーは事務員に頼んで、30年前のペニーの資料を探してもらいます。当時のカルテに書いてあった診断内容は、「妄想性精神病」「自己愛性人格障害」「自分の子供を危険にさらした罪で有罪」になったとあります。

 事務員はカルテを読み上げているうちに、問い合わせてきた人物が、ペニーによって虐待をうけた本人だと気づきます。事務員はカルテの持ち出しを断りますが、アーサーは強引に事務員からカルテを奪い、病院内を逃走します。この場面は、トレイラーにも使われており、非常に記憶に残る場面です。

 アーサーは奪ったカルテを読んでみます。そこで明らかになったことは、ペニーが精神疾患で異常行動をしていたこと、養子縁組をしていたこと、恋人によりその養子が虐待されていたことが分かります。トーマスの言っていたことは正しかったのです。

 意気消沈してアパートへ帰るアーサーですが、ソフィー・デュモンの部屋に入ってしまいます。自分を拒絶するソフィーを見て、今までのソフィーとの思いでは、全てアーサーの妄想だったことが分かります。

 翌日、アーサーはペニーの見舞いに病院を訪れます。しかし、掛ける言葉は、「ママ」ではなく「ペニー」です。もうペニーを母親とみなしていないことが分かるシーンです。そして、アーサーはペニーに枕を押し付け窒息死させてしまいます。

 そして、いよいよマレー・フランクリン・ショーの出演日になります。アーサーはテレビ出演に備えてジョーカーのメイクを施しています。そこへランドルとゲイリーがペニーのお悔やみに来ます。

 そこへランドルから警察が地下鉄殺人事件の件で店に聞き込みに来たことを話します。それを聞いたアーサーはランドルを刺殺してしまいます。

 そしてアーサーはマレー・フランクリン・ショーへ出演するために出かけます。ここで、ギャリーとバークの二人の刑事に見つかり追いかけられます。アーサーは地下鉄に乗り込みますが、そこにはピエロのお面をかぶって市庁舎へ抗議にいく群衆で一杯です。

 ギャリーとバークの二人は暴徒と化したピエロのデモ隊に襲われ重傷を負ってしまいます。アーサーは刑事の追っ手を振り切ることに成功して、マレー・フランクリン・ショーの会場に無事到着します。

 ショーの収録前にMCのマレーとプロデューサーが楽屋にいるアーサーに挨拶に来ます。そこでアーサーは、マレーに自分を紹介する時は、「ジョーカー」と紹介して欲しいとお願いし、マレーは了承します。

 そして、いよいよショーが始まります。マレーはアーサーが予想していた通り、彼を揶揄します。そして、アーサーはとうとう地下鉄でね会社員3人の殺人を告白します。

 アーサーはあの殺人が社会から拒絶された者の唯一の抵抗だったと正当化します。マレーはそれをただの言い訳だと言い、両者の意見は平行線をたどります。

 そして、アーサーはとうとうスタジオ内でマレーを射殺してしまいます。その直後、アーサーは警察に逮捕されてしまいます。

 最後はゴッサムシティ全体で暴動が起きて、護送されるアーサーの乗ったパトカーが群衆に襲われアーサーは群衆に助け出されて、英雄視されます。

 ウェイン一家は、この暴動に巻き込まれます。ブルースの両親は強盗に射殺され、これが以降のバットマン伝説に繋がって行きます。

 その後、警察に再び捕まったアーサーはセラピーのカウンセリングを受けます。その後、アーサーが一人で廊下を歩いているシーンが移ります。足跡が血染めになっているので、セラピストを殺害してしたことが示唆されて「The End」となります。

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