(※内容について本文で一部言及しています。未視聴の方はご注意下さい。)
評価:☆☆☆☆
「最後まで行く」の韓国オリジナル版のレビューです。日本のリメイク版のレビューは2023年5月28日にupしましたが、その時の内容がすごく面白かったので、オリジナル版も見たくなって鑑賞しました。オリジナル版が公開されたのは2014年のようです。日本でリメイク版が作られる前にも中国版フランス版があるようです。それだけ面白い映画ということなのでしょう。
日本のリメイク版と比べると、オリジナル版は登場人物やその相関関係がシンプルですね。日本版のリメイクだとヤクザ(柄本明さんが演じています)が絡んできて話が少し複雑になります。このあたりは、人によって好みが分かれるところではあると思いますが、私はオリジナル版のシンプルさも割と好きです。あと、日本のリメイク版だと女性が重要な役で出てきたのですが(日本のリメイク版では広末涼子さんが出演されていました)、オリジナル版では、ほぼ男性のみなのですね。オリジナル版では事業に失敗した妹夫婦が同居しているという設定も新鮮でした。主人公のコ刑事も離婚歴があり、一人娘のミナはコ刑事と同居している妹夫婦で面倒を見ているようです。
オリジナルが韓国版なので、比較して鑑賞してみることによって両国の文化・風習の違いも明確になって面白かったです。まず最初に気が付いたのですが、日本では、ほぼ火葬なのに対して、韓国では土葬が標準なのですね。その土葬用棺についても蓋をしたあと、独特の杭を打ち込んで蓋を閉めるのですね。これは日本にはない風習だと思います。あと、日本で警察官であることを示すのにはバッジを提示するので、韓国では社員証の様なものを示すのですね。緊急連絡先が日本だと警察は110番、消防車や救急車は119番に連絡しますが、この映画ではどちらに連絡しようとしたのかわかりませんが、112番に連絡しようとしていました。マンションの中で乱闘するシーンがあるのですが、お風呂場にトイレの便器が設置されていました。日本では民家のお風呂場の中に便器は設置していないので、韓国はアメリカ式なのかも知れませんね。刑事に轢かれるヤクザものがもっていた携帯電話が日本でいうガラケーでした。主人公の刑事はスマホを使っていたした。2014年頃だとまだ、韓国でも全員がスマホを持っていなかったのかも知れません。
映画の途中でストーリーとはあまり関係ないのですが、コンビニが写る場面があるのですが、そのガラス窓に「SECOM」のステッカーが貼ってあるのに気がつきました。SECOMも韓国に進出して事業を展開しているのですね。そのコンビニ内のイートインで結構人が飲食しているのも日韓の違いなのかもしれません。日本でも最近はコンビニ内にイートイン設備が備わってきましたが、あまりそこでお客さんが飲食している場面は見かけないと思います。
同僚が載った車の上に鉄の塊が落ちてくるシーンが日本のリメイク版でもトレイラーに使用されるくらい衝撃なシーンだったのですが、オリジナル版でもあったシーンだったのですね。リメイク版のトレイラーで見たときには、何かの夢オチネタかなと思ったのですが、映画本編に関わってくるシーンでしたね。
押収したC4爆弾を駐車場で爆破処理するというシーンが唐突に出てくるのですが、最初はなぜこんなシーンが必要なのか分かりませんでした。最終版で監査部パク巡査部長にイ容疑者の遺体を渡した後にこの押収したC4爆弾を使ってパク巡査部長の車ごと爆破するための伏線だったのですね。
評価結果ですが、日本版リメイク作がスピード感やアクションがあって私にはあっていたような気がするので、オリジナル版では☆4つ、日本版リメイク作では☆5つとさせて頂きました。ただ、日本リメイク版リメイク作はスピード感があったのは確かですが、アクションシーンというか喧嘩・乱闘シーンがちょっと過剰な気がしました。韓国版オリジナル作は喧嘩・乱闘シーンは適度に抑えられていてこちらのほうが良かったかも知れません。
映画の最後は警察上層部に全てがばれて、しかし警察としても公にするわけにもいかず、隠蔽することになります。コ刑事は1年間の休職処分になるのですが、パク巡査部長の地下銀行の鍵を見つけて莫大な裏金を手にすることになります。そういう意味ではハッピーエンド的な終わり方だったと思います。映画のエンディングとしては、オリジナル版の方が好きですね。
最後にこの映画レビューを「邦画」にするか「洋画」にするかで迷ってしまいました。今までの感覚だと、洋画=ハリウッド映画、邦画=日本で製作された映画になると思うのですが、このような韓国映画はそのようにカテゴライズするのは少し難しいのかも知れません。
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