(※内容について本文で一部言及しています。未視聴の方はご注意下さい。)
評価:☆☆☆
この作品は、2023年に公開されたものです。監督は、前田 哲さん、主演は長澤まさみさんです。原作は葉真中 顕さんのロスト・ケア 葉真中 顕 著になります。原作小説は映画鑑賞後に読みました。感想はBookレビューの欄に書いてありますので、そちらも参照して頂けれると幸いです。
映画館で別の映画を観ていた時にトレイラーで紹介しされていて、面白そうだと思ってみてみました。
映画化にあたり原作小説を大きく脚色しているようです。原作小説のレビューでも書きましたが、原作小説と映画は別物ですので、原作があってもその通り映画を作る必要はないと思いますし、映画は映画のみで評価すればいいと思います。ただ、そういう見方をしてもこの映画作品は小説を超えるレベルには達していないように感じました。
まず映画の性質上どうしてもキャストを初めから発表する必要があり、松山ケンイチさんがフィーチャーされ、犯人役はその時点でバレてしまいます。トレイラーなどでもガンガン出ていますから、小説のような倒叙形式にはできないということで大きく構成が変わったのでしょう。
原作では、検事役は男性なのですがこの映画では長澤まさみさんがキャスティングされていて大きく変わっています。ただ、この変更はうまく行ったのではないかと思います。長澤さんは演技力がしっかりした俳優さんなので、映画全編に渡ってリアル感があったと思います。
検察事務官の椎名幸太役には、鈴鹿央士さんが出演されいますね。この人には、蜜蜂と遠雷 でも風間塵役で出演されいます。数学が得意な理学系出身の事務官という役で、この人の発見が連続殺人発見の端緒となります。
映画について
映画のストーリーとしては、男性の独居老人が孤独死している場面から始まります。その老人の搬出現場に検事の大友秀美(長澤ますみさん)がやって来て、搬出作業を見守りますます。
これは映画の最後に意味が明かされるのですが、最初は分かりませんでした。確か原作にはなかったオリジナルのプロットだと思います。
次に、ケアセンター八賀という訪問介護のチームが出来ます。このチームにリーダーは、斯波 宗典(松山ケンイチさん)という人物が精力的に介護をしています。しかし、斯波は相当苦労したようで、まだ若いのに髪の毛は、白髪で真っ白です。
検察官の大友 秀美の母親(藤田 弓子さん)は認知症を患っているようで、老人ホームに入居しています。親子の会話からすると、秀美が幼いころ両親は離婚してしまったようです。その後、秀美の父親とと連絡していないようで、今何をしているかも分からないような状況のようです。
そんな中、ある晩介護施設利用者の梅田さん宅で、利用者の梅田 貫太郎さんとケアセンター八賀の所長の団 元晴氏の両名が死体で発見されます。
その後の警察の捜査で、梅田さんの体内からニコチンが検出されたということで、団所長が利用者の家に盗みに入り、梅田さんにニコチンを注射して殺害したと結論を出します。ケアセンター八賀の職員も事情聴取されます。団はお酒を飲んでいたようで、梅田さんを殺害した後、誤って階段から落ちて事故死したと警察・検察は推測します。
次に、事件は以外な展開を見せます。被害者と被疑者が死亡する12分前に斯波が車で被害者宅の近くを走行していた画像が防犯カメラに捉えられていたのです。斯波は事情聴取でこの時間は自宅にいたと証言しているので矛盾しています。
また、この聞き取り時には、頭に包帯を巻いてしました。検察は、斯波と団が共謀して梅田さん宅に盗みに入り、仲間割れを起こして斯波が団を殺害したと見立てました。
しかし、斯波の証言は検察の予想していなかったものでした。あの日の夜は、訪問介護に梅田さん宅に寄った時に梅田さんの様子が変だったので、気になって深夜にも関わらず見に行ったところ、団が窃盗している場面に出くわして、争っているうちに、団が階段から落ちて死亡したというものでした。
その後、椎名とともに斯波の自宅に秀美は訪れます。斯波の部屋には私物がほとんどありませんでした。本棚にあった聖書に目を止めた秀美は、スピンでとめてあった箇所を開くと、黄金律「人にしてもいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」という箇所に目を留めます。
また、斯波の部屋には、要介護者の詳細を記したノートが膨大に保管してありました。
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