映画「透明人間」の感想・レビュー

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(※内容について本文で一部言及しています。未視聴の方はご注意下さい。)

評価:☆☆☆☆☆

 2020年に公開された作品です。最先端の工学技術とホラーを組み合わせた構成は「M3GAN」(映画「M3GAN/ミーガン」の感想・レビュー)に似ています(ストーリーは全然違いますが)。

 映画のストーリーは、セシリアとエイドリアンという若い夫婦がベッドで寝ている場面から始まります。妻のセシリアは、夫のエイドリアンを睡眠薬で眠らせている間に、二人が暮らしている家から逃げ出します。セシリアの妹のエイミーの運転する車に乗ってエイドリアンの元から逃れます。

 2週間後、セシリアはエミリーの知人で警察官のジェームズの家に居候させてもらって保護してもらっています。他の同居人はジェームズの娘のシドニーがいます。セシリアはエイドリアンから逃げてきて2週間たちますが、まだエイドリアンの影におびえて家の外に出られません。

 そんなおり、妹のエミリーがセシリアを訪ねてきて、エイドリアンが自殺したことを伝えます。セシリアはエミリーとジェームズにエイドリアンがセシリアに何をしたかを話します。そこで明らかになったのが、エイドリアンはセシリアに対して単純に束縛力が強いというより、精神までコントロールしょうとしたため、彼の元から逃亡したとのことでした。

 数日後、セシリアに遺産相続の連絡がきます。遺産相続の担当弁護士はエイドリアンの兄のトムが務めます。セシリアにはエイドリアンの500万ドルの遺産を受け取ることになります。トムのオフィスにはエイドリアンの遺骨が安置してあります。

 余談ですが、確か映画「エリザベスタウン」を見た際に、映画内のセリフでカリフォルニア州での火葬は70%だと言っていました。「エリザベスタウン」が2005年に公開されたことを考えるといまはもっと火葬率は高いのかも知れません。

 セシリアはジェームズに居候させてもらっているお礼に脚立をプレゼントします。また、シドニーには入学を希望していた服飾関係の美大であるパーソンズ美大の費用をプレゼントします。

 次の日の夜に異変が起こります。セシリアとシドニーは一緒のベッドに寝ていますが、就寝中にシーツが動きます。シーツを引っ張りますが、誰かがのっているようで動きません。しかし、誰かがシーツに乗っているようにも見えません。ジェームズを呼びますが気のせいだと諭されます。

 次の日、セシリアはサンフランシスコ市内の建築事務所の就職へ出かけます。準備してきたはずの建築のデザイン画がなぜか無くなっていました。またその転職面接中に気を失って病院に運びこまれるといった不可解な現象が続きます。

 病院で検査を受けたセシリアはジェームズの家でシャワーを浴びます。そこへ病院から電話がかかってきます。気を失った理由は、セシリアがエイドリアンに飲ませた睡眠薬を過剰摂取したためだというのです。もちろん、セシリアに心当たりはありません。同時にエイドリアンの家から逃げた時に、おいてきたその睡眠薬がエイドリアンの血痕付きでバスルームで見つかります。

 この不可解な現象を説明できるのは、「エイドリアンが生きていて、光学分野の天才科学者だった彼が透明人間になるデバイスの開発に成功して、それを使って悪事を働いている」というものです。この考えに気づいたセシリアがジェームズとともにトムのもとに行き、上記の仮設を話しますが、エイドリアンが自殺した際の写真を見せてとりあってくれません。

 収穫なくトムのところから帰ったセシリアは妹のエイミーに会いに行きます。ところが、エイミーの機嫌は悪く、険悪な雰囲気が漂います。どうも、事情を聞くと、セシリアからエイミーに対してひどいメールが送られて来たようです。セシリアにはそのようなメールを送った記憶はないのですが、ジェームズの家に帰って自分のパソコンを調べてみると、確かにエイミー宛てにひどいメールを送っています。

 訳が分からず、憔悴しているセシリアのシドニーは、セシリアとシドニーだけの二人だけのケーキパーティーを提案し、セシリアを元気づけようとします。セシリアが少し元気になったところで、突然シドニーが殴られます。その場には、シドニーとセシリアしかいないので、セシリアが殴ったことになります。セシリアがいくら否定してもジェームズやシドニーは聞いてくれません。

 シドニーとジェームズは家を出て行ってしまいます。一人になったセシリアですが、エイドリアンの存在を感じます。実際、死んだはずのエイドリアンのスマホに電話をかけてみるとセシリアの部屋の屋根裏からバイブレーションの音が聞こえて来ます。屋根裏に上がってみると、セシリアが就職試験に持っていくはずだった仕事の資料があります。屋根裏から降りようとする際に、とっさにペンキを中空にかけてみると、ヒト型にペンキが塗られます。その後、リビングで見えない誰かから暴行されます。

 明らかに透明人間の仕業のようです。この謎を解くカギはエイドリアンの自宅にあると思ったセシリアはUberで配車を頼んで、エイドリアンの自宅に赴きます。そこには、全身をカメラのレンズで覆ったような黒い奇妙なスーツがありました。セシリアはこのスーツをクローゼットにしまいます。これが最後に伏線として生きてきます。

 エイドリアンの家から出たセシリアは、彼が生きていて一連の不可解な現象に関わっていることに確信します。それを妹のエイミーに伝えるべく、サンフランシスコ市内のユーシンという中華料理店で合うことにします。

 ユーシンでエイミーと会ったセシリアは自分の考えを話そうとした瞬間、ナイフが空中に浮かんでエイミーの喉を掻き切ります。その後、そのナイフはセシリアの手に握らされ、セシリアはエミリー殺しの犯人として捕えられます。

 精神病院に収容されたセシリアは、ジェームズから尋問を受けます。セシリアはエイドリアンが生きている証拠は示せるが、尋問の場所ではエイドリアンが聞いているから話せないと拒みます。また、精神病院の医師からは最近妊娠したことを告げられます。セシリアは避妊していたのですが、エイドリアンはそれに気づいていて避妊薬をすり替えていたようです。

 そして、エイドリアンの兄のトムが弁護士として面会に来ます。セシリアの妊娠のことを知っていました。最後にこの苦境を抜け出すためには、エイドリアンの子供を産めと迫ってきます。セシリアはその要求を跳ね除け、トムが用意した書類を放り投げ、トムがその書類を拾っている隙にトムのブリーフケースから万年筆を抜き取ります。

 自分の病室に戻ったセシリアはエイドリアンが監視していることを承知で、トムから盗んだ万年筆で手首を切りつけます。当然、エイドリアンは止めようとします。そのタイミングを見計らってセシリアはエイドリアンに万年筆で切りつけます。すると透明スーツの一部が故障したのか、時々透明スーツ本来の黒い姿が浮かびあがってきます。

 警備員が次々と駆け付けますが、時々素のスーツが浮かび上がるとは言え、ほとんど見えないエイドリアン相手に警備員はなすすべなく倒されていきます。エイドリアンの次なる標的はシドニーであると見抜いたセシリアは、精神病院を脱出してシドニーのところへ駆けつけます。

 やはり、エイドリアンはシドニーを標的に選び、殺害しようとします。間一髪のところで、セシリアは透明人間を射殺して、シドニーの命を救います。透明スーツを脱がしてみると、スーツを着ていたのはエイドリアンの兄のトムでした。

 その後、エイドリアンの自宅を捜索すると、監禁されたエイドリアンが発見されます。外囲的・客観的に判断するならば、すべてはトムが裏で糸を引いていて、セシリアもエイドリアンも被害者ということになります。しかし、セシリアだけはその筋書きに納得せず、全てエイドリアンの差し金だったと主張します。そして、それを証明するために最後の賭けに出ます。

 エイドリアンに電話するとよりを戻そうと提案されます。そして二人はエイドリアンの自宅で食事をしながら、エイドリアンに真実を話すように説得します。その食事の光景は防犯カメラによって撮影されています。その会話を家の外の車の中でジェームズが無線で聞いています。エイドリアンが事実を告白するか確かめるためです。

 しかし、エイドリアンは全てをトムのせいにしようとします。セシリアは化粧を直すために食事の席を外します。エイドリアンはその間一人でステーキを食べ続けますが、突然持っていたナイフで自分の喉を掻き切ります。

 そこへ戻ってきたセシリアは、驚いて救急車を呼びます。しかし、防犯カメラの死角に入った途端、冷めた表情になり、エイドリアンの口癖であった「サプライズ」と口にします。何事かと駆け付けた、ジェームズに「私は大丈夫」と告げて、トートバッグを下げて立ち去ります。そのバッグの中には、ウーバーで訪れた際に、クローゼットの中の隠した予備の透明スーツが入っていました。

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