この記事は、「 トコトンやさしい真空技術の本 関口 敦 編著 日刊工業新聞社」を参考にさせて頂いています。
真空の定義
真空は日本工業規格(JIS)によって次のように定義されています。
「通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態」
「ゲージ圧」 vs 「絶対圧」
●ゲージ圧は大気圧を原点とする値で通常の圧 力計の大多数はゲージ圧計です。
●科学技術では圧力0を原点とする絶対圧を使用します。
世の中のほとんどの圧力計は項の圧力を表示する 計測器ではありません。圧力計の表示値をそのまま ■項で解説した公式に代入して計算していませんか?これは誤りです。
「ゲージ圧」と「絶対圧」の概念に注意する必要があります。世の中のほとんどの圧力計は「ゲージ圧計」と呼ばれる計測器で、大気圧を原点ゼロとし、ここからの差圧を表示する機器です。水道水の圧力など、日常的に使用する圧力計は大気圧を原点とする計測が大変便利で、感覚的にもわかりやすいのです。大気圧は常に変動しているので、ゲージ圧の原点も常に変動しています。ゲージ圧計の単位表記は、atm(G)やPa(G)のように (G)を付け絶対圧と誤認しないように工夫していますが、まれに(G)を付けていない場合もあるので注意が必要です。
一方、以前解説した圧力は「絶対圧」と呼ばれます。気体が無くなった理想的な真空状態を原点ゼロ とし、標準大気圧は1気圧(=1・013×105Pa)と なります。科学技術の分野で使用する圧力は、この 絶対圧です。「絶対圧計」の代表例は気圧計と真空計 です。その他の圧力計はほとんどがゲージ圧計です。
絶対圧の単位表記は、atmやPaのように科学で使 用している表記をそのまま使用します。 ガスボンベやガス配管の圧力表記は通常「ゲージ圧」です。一部の高純度が要求されるガス配管には「連成計」と呼ばれる大気圧原点ゼロで、加圧状態の圧 力表示に加えて真空状態をマイナスとして表示する ゲージ圧計も存在します。これらのゲージ圧計表示値を、そのまま項で解説した気体状態を換算する 公式に代入してはいけません。公式に代入できるの は絶対圧値です。絶対圧に変換するにはゲージ圧を 測定した時点の大気圧を別に気圧計を使用して測定 し、このゲージ圧値に大気圧を加えるのです。
真空の種類
真空の種類は日本工業規格(JIS)によって4種類に分類定義されています。それを下記に示します。実務では、未だにTorrを使用されている現場もあるようですので、赤字でTorr表示を付け加えておきます。
低真空:圧力100kPa~100Pa(760Torr~0.75Torr)の真空
中真空:圧力100Pa~0.1Pa(0.75Torr~0.75mTorr)の真空
高真空:0.1Pa~10uPa(0.75mTorr~0.075uTorr)の真空
超高真空:圧力10uPa(0.075uTorr)以下の真空
極高真空(参考):圧力1nPa(0.75pTorr)以下の真空
手動ポンプの原理
よく昔の時代を舞台にしたドラマで、手動(手押し式)式のポンプの映像が出てくることがあると思います。あのハンドルを上下することで、水がポンプから吹き出してくる理由を説明したいと思います。
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