「イーロン・マスク」のレビュー・書評

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今回レビューするのは、「イーロン・マスク」ウォルター・アイザックソン 著 文藝春秋社です。

 今話題の人物、イーロン・マスクについての伝記です。作者はスティーブ・ジョブズの評伝も書いたウォルター・アイザックソンです。上下2巻 上巻462ページ、下巻 439ページの大部の書籍です。

 「スティーブ・ジョブズ」と著者も翻訳者も同じ組み合わせなのですが、こちらの本の方が、こなれていないというか、何か少し読みにくい感じがしました。世界同時発売のためあまり翻訳に手を入れる時間がなかったのかも知れません。

 この本を読んで、色々と今まで知らなかったことが分かりました。まずスペースXとテスラの創業の順番です。テスラのIPOで巨万の富を得たマスク氏がそれを元でにテスラの経営権を取得したと思っていたのですが、創業時期はスペースXの方が先だったのですね。

 次にテスラの経営権ですが、経営に行き詰ったテスラをペイパルのIPOで巨万の富を得たマスク氏が経営権を買い取ったと思っていたのですが、ほぼ創業時からテスラには関わっていたのですね。

 本書によると、イーロン・マスク氏は、1971年6月28日生まれ、南アフリカのプレトリア生まれだそうです。アフリカーンス語が主要言語の南アフリカでプレトリアは数少ない英語圏だそうです。そのため、マスク氏は後年アメリカ移住もスムーズにできたのですね。

 マスク氏は1989年にカナダに移住し、1990年にカナダのクィーンズ大学に入学します。そしか1992年、大学3年に上がるタイミングでペンシルベニア大学へ移籍します。日本では、学部レベルでの大学間の移籍というのは、あまり考えられないですね。あるとすれば、5年生の高専を卒業した後、4年生の大学の3年生に編入するというのがあるぐらいですかね。

 1995年の春にマスク氏は、ペンシルベニア大学を卒業します。秋からは、スタンフォードの大学院に入学するつもりでした。スコシアバンクのピーター・ニコルソン氏に相談したところ、「大学院なんていつでも行ける」との言葉で、スタンフォードの大学院を休学してインターネットの波に乗ることにします。

 1995年に弟のキンバル氏と共にZip2という会社をパロアルトに設立します。この会社は職業別電話帳と地図を組み合わせて、Web上て検索、表示できるものでした。本書にも書かれていますが、「既存のイノベーションふたつを組み合わせるとすばらしいイノベーションが生まれたりする」のですね。このZip2の投資を獲得するための資料をキンコーズで印刷したらしいです。キンコーズってこのころからあった外資系の会社だったのですね。ただ、モーア・ダビド―・ベンチャーズというベンチャーキャピタルが投資してくれたのですが、マスク氏は、CEOの任を解かれます。

 1999年1月にこのZip2をコンパック・コンピュータに3億700万ドルで売り、マスク氏自身は、2200万の大金を手に入れます。この時得たお金でマクラーレンF1を購入しています。

 2000年1月にマスク氏はジェニファー(ジャスティン)・ウィルソンとの間で一度目の結婚をします。このジャスティンという女性は結構、ハチャメチャな性格のようです。

 1999年3月にXドットコムという金融会社を立ち上げます。その時、競合にペイパルがあったらしいです。その会社とXドットコムが合併したのが、2000年3月です。当初、CEOだったのでが、2000年の9月ごろ、経営陣の反乱に会い、CEOを解任されます。最終的に2002年7月にペイペルは株式を公開し、マスク氏は2億5000万ドルを得ます。

 CEOを解任されていた2001年9月に次のアイデアの宇宙事業を思いつきます。そして、2002年5月にスペースXを立ち上げます。最初の名前はSET(Space Exploration Technologies)だったらしいですが、その後スペースXに改名したそうです。

 テスラ・モーターズですが最初の登録は2003年7月にマーティン・エバーハードとマーク・ターベニングによって行われています。その後、投資家を探していた、二人はマスク氏と知り合い、マスク氏とJBストロウベル氏、イアン・ライト氏の5人が、テスラの創業者ということになっています。すったもんだの結果、2008年10月にマスク氏は、テスラのCEOに就任します。

 2008年は、スペースXとテスラ両社に危機が訪れます。まず、スペースXです。ロケットの打ち上げが3回連続で失敗します。しかし、12月22日の4回目の打ち上げには、成功して何とかスペースXの命脈を維持します。次にテスラが資金難に陥ります。しかし、これもクリスマス直前に借入金が得られて一命を取り留めます。

 マスク氏には、かつて増毛疑惑があったことがありました。本書には、多数の写真が掲載されているのですが、1990年代のマスク氏の写真をみると確かに額がかなり後退しているように見えます。しかし、現在の写真は、額の位置は戻っています。やはり、増毛したのでしょうか?

 イギリス人女優のタルラ・ライリーと結婚と離婚を繰り返した時期があったようです。映画「プライドと偏見」にも出演していたらしいです。タルラと初めて会ったのは、2008年7月てした。「プライドと偏見」は見たことがあるのですが、主演女優キーラ・ナイトレイの妹役として出演していたそうで、正直あまり記憶にありません。その映画をまたみる機会があれば注意して見ようと思います。彼女との結婚は2010年9月でした。

 テスラの自動車工場はカリフォルニア州フリーモントにあります。かつて、GMとトヨタが共有していた工場を2010年5月に買ったのです。

 今話題のOpen AIのサム・アルトマンさんともビジネス上で知り合いだったようです。2015年のOpen AIの設立にもマスク氏は関わったようです。

 テスラにオートパイロット機能を載せようとします。オートパイロットについて、マスク氏は「事故を避けられたか否かではなく、事故を減らせたか否かで評価しなければ、ならない」と考えています。しかし、「感情的な問題から、オートパイロットで人が一人死ぬと、人間のミスで100人が死ぬ以上の騒ぎになる」という事情は日米であまり変わらないようです。

 2016年頃には、アンバー・ハードとも付き合っていたのですね。アンバー・ハードと言えばジョニー・デップとの離婚訴訟が有名ですが、この本によるとかなりハチャメチャで支離滅裂な人の様な印象を受けます。

 クレア・ブーシェイ(芸名グライムス)と出会ったのは、2018年の春です。彼女と出会ったのは、2018年春です。彼女との間には3人の子供がいるらしいのですが結婚したとは書いてありません。他の女性と似ていて、性格はかなり切れているょうです。

2022年10月27日にTwitter買収後にTwitterの名称をXに改名します。最初は「変わったことをする人だなあ」思ったのですが、この改名にはペイパルに吸収されたXドットコムを復活させたいという思いが込められていたのですね。

 本書で取材しているのは、2023年4月までなので出版のギリギリまで取材していたことになります(又は取材後すぐに出版したことになります)。

P.10, P.48. P.61, P.61, P.101, P.107, P.107, P.115, P.119, P.159, P.240, P.300, P.314, P.341, P.353, P.422

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